『各務原氏の逆説』の感想文になってしまった…。

 『各務原氏の逆説』[ ISBN:4198506361 ]氷川透)を読了。
 あ〜、微妙。
 これはネタばれ無しで語るのは難しいぞ。でも、まずはネタバレ無しで。

 まず、『各務原氏の逆説』なる題に疑問が。本文中で各務原氏は、殆ど活躍してない。というか存在感が、題にするほど有るとは思えない。後、「逆説」にも余りインパクトが無かった。

 二。余りにテーマや扱っている内容に比べて、雰囲気が軽い。いわゆる「学園物」であるから、であると思われるけど、これは逆効果。それこそ東川篤哉の「烏賊川市」のシリーズのように、準備立てから道具立てまで、フザケテくれないと、そのギャップに戸惑う。

 三。これまでの氷川作品の魅力であったロジックが些か弱すぎる点。『真っ黒な夜明け』『最後から二番目の真実』等の畳み掛けるような推理がもっと欲しかった。
 チェスタトンと比べるのは、ちょっと…。

 四。これはネタバレ無しは難しい。ので、似非浮き出しで代用します。


 <ネタバレ!>
 これまでの「氷川透」シリーズを読んでいる人は、桑折亮=氷川透(「桑折」=「氷」、「亮」=「透」)という図式が(頭の中で)成り立つから良いけれど、これが始めての読者だとすると、ただの安っぽい叙述トリックになってしまう罠。
 そもそも、これはフェア、アンフェアで意見が分かれそうな所。結局その叙述トリックを見破る事が出来る様になっている所は(おそらく)一箇所しかない。
 それに、「領家友和」をいかにも若かりし「氷川透」みたいに書いたのも、そのトリックを助けていると言える。だとすれば、なおさら読者を選んでいると言うことで…。
 良いのかそれで?

 ネタバレ!>


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 しかし、帯の折り返し部の文はどうかと思うぞ。これからずっと覆面作家って。それじゃあこれから(も)ずっと、サイン会もやらないし賞も貰わないってこと?
 いいのかそれで?(同じ落ちになったw)。