自分が一番分からない

 

殺人喜劇の13人 (講談社文庫)

殺人喜劇の13人 (講談社文庫)


 を読了。いかにも学生的な感性を持つ登場人物が、非現実的な推理小説世界と現実世界を重ね合わせ、錯誤していく。この作品ではかなりの数の死者が出るのだけれど、その一つ一つに現実感を見出す事が出来ない、あるいは慢性的な現実逃避を積極的に希求する、そんな雰囲気が出ている。良い意味でも悪い意味でも虚構的で、わざとらしい。が、そこへ向かうプロセスがしっかり組まれていて、自然に見えるよう配置されている。虚構的だけど、自然。微温湯な。