(自分の価値観に置いての)”正義”の味方を気取ってみる。

 

ブードゥー・チャイルド (角川文庫)

ブードゥー・チャイルド (角川文庫)


 を読了。
 主人公馬鹿すぎ。あれだけヒント貰えれば、誰だって分かるだろうに……。と、思うぐらい謎解きは簡単。伏線がかなりあからさまに張ってあるし。相当な部分が、想像と推測に頼った推理になってしまうけれど、ロジックを重視した作品ではないので、問題なし。社会派と本格との狭間で、自分の位置を確かめているような。

 良く分からないのが、自称"天才"の少年を探偵に据えた事と、ラストの座りの悪さ。まあ、前者は「謎を解く事」が皆の幸福な生活に繋がらない(というか、どちらかと言えば不幸に繋がる)という、謎解きをする事の意味を探偵役が(例えば法月綸太郎などのように)考え、躊躇してしまうことを回避するためだ、という解釈の仕方もあるけど。(そういう事を考えない、という点で"少年"という設定し、謎解きをさせる為に"天才"という属性を付加させたのは、妥協案だとは考えられ……無いかな)
 後者は詳しく書くとネタバレになるけど、ラストの手前、謎解きが終わった段階で、もうワンエピソードあっても良いじゃないのかな、と思った次第。う〜んうまく説明できないけど。

 前世とか、ブードゥー教とか、家族の謎とか、掴みは良かったのだけれど。どれもこれも中途半端。良く分からないし。良作になり損ねた凡作かなあ。


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[ 小説より奇なり…主犯は性同一性障害、共犯の恋人は多重人格 ]

 http://www.zakzak.co.jp/top/2005_02/t2005020923.html

 なんだかなあ。マスコミは事実を報道することよりも、話題性のある事を報道するんだなあ、と改めて再確認。性同一性障害も多重人格も事件の本質とは何の関係も無いでしょうに。
 子供の頃、親から虐待を受けた。大人になってから発作的に親を殺してしまい、同居人が死体の遺棄を手伝った。それだけの事なのに、どうしてゴチャゴチャと性的嗜好何かを書く必要があるのか。


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 最低でも一部の刑事事件を報道するマスコミ(の記者)は、加害者の更正も、被害者の救済も、何も考えていないと言っていいのではないでしょうか。