自暴自棄現実逃避

 

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)


 を読了。
 雰囲気は良いんだけど、いかんせん謎解きが中途半端。謎自体は魅力的なんだけどなあ。独特の雰囲気を楽しむ事に専念した方が、より面白かったかもしれない。伏線はしっかり張ってあるし、推理もあるのだけれど。
 面白かったですけどね。人物の女性的(と言ったら差別的?)な心理描写とか、ちょっとした独特の思考とか、そう言う細かい所、男性に書くのは難しい。

 最後の章「回転木馬」に出てくる「閉鎖的な学校」の設定が、西澤保彦の『神のロジック・人間のマジック (本格ミステリ・マスターズ)』とソックリ。こちらの方が先に出版されているので、西澤保彦が自作に取り入れたのだろう。西澤はパロディ作家だし。にしても、ラストの大枠まで一緒とは。内容(真相?)は豪く違うのだけれど。


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ツール&ストール

ツール&ストール


 を読了。
 短いセンテンスで都会的にさらり……というか、コントめいた物語運び。主人公兼偶に"名探偵"は不運でお人よしな白戸修。殺人犯匿ったり、ステ看板はりさせられたり、銀行強盗の人質にされたり、万引きに間違われたり……。一々首を突っ込んで、巻き込まれる。

 良い人だなあ。このすがすがしい程の良い人っぷり。推理の切れ味は素晴らしいし。続編が読みたいなあ。


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 『繭の夏 (創元推理文庫)』を読書中。『模像殺人事件 (創元クライム・クラブ)』とは全然雰囲気が違う。どっちがこの作者の庭なのだろうか。