良い国作ろう日本。

 

密室の鎮魂歌(レクイエム)

密室の鎮魂歌(レクイエム)


 を読了。
 こなれているなあ。これ、新人の作品ですけど、そうは思えない。ベテランの風格が漂ってるよ。

 「密室」は余り期待しない方が良い。刺青と絵画の関係の謎の方が、よっぽど魅力的だ。尤も、それも事前に推理することは非常に困難だけれど。多くの情報が意図的に伏せられているから。

 登場人物は少ない描写であるものの、魅力的に書かれているので、そっちで作風の固めた方が良いと、私は思います。その結果、作品が多少、本格ミステリから外れるとしても。


 --------------------------------


 

鬼に捧げる夜想曲

鬼に捧げる夜想曲


 を読了。
 グイグイ読ませる力が凄い。よくよく考えてみると、色々不備がみられるものの、それが(最低でも)読んでいる最中に気が付かない程だ。トリックにも独創性がある。

 横溝正史のパロディめいた雰囲気と舞台装置(明らかに『獄門島』を意識してるし。「岡山県で起きた花嫁殺害事件」とかも出てくる)。京極夏彦を意識した民俗学的薀蓄。それに現代の価値感が棘のように刺さっている(戦後直後に関わらずの、現代的平等主義的な描写等)。それでもこれだけ面白いのは、偏に作者の力量ゆえだろうなあ。

 何にせよ、二作目が非常に楽しみ。


 ---------------------------------


 前後の文の繋がりを全く気にしない性質です。